| 患者 | 40代女性 |
|---|---|
| 主訴 | 「歯が欠けたので診てほしい。なるべく歯や神経は残したい」とご相談いただきました。 |
| 診断 | 拝見したところ、左上奥歯には噛む面と側面の一部を覆う金属の詰め物が装着されていましたが、その下の歯が欠けている状態でした。 患者様は噛み合わせの力が強く、日常的に歯へ大きな負担がかかっていたことが、歯が欠けた原因だと考えられました。 このまま放置すると、欠けた部分から神経に刺激が伝わり、しみたり痛みが出たりするおそれがあります。 以上のことから、可能な限り歯や神経を残しながら、欠けた歯を治療する必要があると診断しました。 |
| 行ったご提案・治療内容 | 診断結果と、患者様の「なるべく歯や神経を残したい」という希望をふまえ、今回は「神経保存療法」を提案し、同意いただきました。 神経保存療法は歯の神経を残すことができる治療法ですが、状態によっては再度神経の治療が必要になる場合があります。 まず、欠けた部分を丁寧に処置し、神経を保護する材料「セラカル」を使用します。 続いて、被せ物を装着するために形を整えて仮歯を装着し、約3週間経過観察を行いました。 その後、痛みやしみる症状が見られなかったため、最終的な被せ物を作製するために精密な型取りを行います。 後日、完成した被せ物を装着し、見た目や噛み合わせに問題がないことを確認して、治療を終了しています。 |
| 治療期間 | 約1ヶ月 |
| 費用 | 143,000円 (材料代含む) |
治療のリスク | ・装着に際し、天然歯を削る場合があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |
治療前


詰め物の下の歯が欠けています。
治療中

神経を保護する材料と詰め物を安定して支えるための土台となる材料を重ねて、歯を補強しました。
治療後



| 患者 | 40代男性 |
|---|---|
| 主訴 | 定期検診でお越しいただいた際、「右上の奥歯にものが挟まる」とご相談いただきました。 |
| 診断 | 拝見したところ、過去の治療で保険診療の銀歯を被せた右上奥歯の周りに、わずかなすき間ができていました。 現時点では痛みなどの強い症状はなかったものの、詳しく状態を確認するためレントゲンを撮った結果、銀歯の下で虫歯が再発していることが判明しました。 虫歯の再発は、今回のような詰め物や被せ物の境目に生じたごく小さなすき間から細菌が入り込むことで発生し、気づかないうちに内部で虫歯が広がっている場合があります。 このまま放置すると、虫歯がさらに進行して歯の大部分を失ったり、強い痛みが出たりする可能性があるため治療が必要と診断しました。 |
| 行ったご提案・治療内容 | 虫歯は歯の神経(歯髄)に達する深さまで進行していたため、神経の処置(根管治療)をしたのち、ジルコニアで新しい被せ物を作製・装着することを提案し、同意いただきました。
根管治療とは、感染した神経や細菌を丁寧に取り除き歯の根の中を洗浄・消毒して密閉することで、再び細菌が入らないようにする方法です。 そのため、治療後の修復には強度と審美性の両立を重視し、被せ物の素材としてジルコニアを選択しました。 まず、古い銀歯を取り外し、その下に広がっている虫歯を除去します。 根管内の清掃が完了したあと、殺菌性と封鎖性に優れたMTAという材料を用いて、根管を緊密に封鎖する根管充填を行いました。 後日、完成したジルコニアの被せ物を奥歯に装着し、見た目や噛み合わせに問題がないかを確認したうえで治療を終了しました。 |
| 治療期間 | 約5週間 |
| 費用 | 約260,000円 (根管治療) |
治療のリスク | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・装着に際し、天然歯を削る場合があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |
治療前

虫歯が再発しています
治療中

4根管

治療後



| 患者 | 50代女性 |
|---|---|
| 主訴 | 「歯が取れた」とご相談いただきました。 |
| 診断 | 拝見したところ、左下奥歯に装着されていた被せ物が外れ、土台となる歯の根が露出していました。 レントゲン画像を確認した結果、過去の歯根治療が十分ではなく、根の周囲組織に炎症が生じる「慢性歯根膜炎(まんせいしこんまくえん)」の状態であることがわかりました。 このまま放置すると、炎症が進行して根の周囲の骨がさらに溶け、最終的には歯を抜かなければならない可能性があるため、治療が必要です。 |
| 行ったご提案・治療内容 | 患者様は「できる限り自分の歯を残したい。精密な治療を受けたい」と強く希望されました。 そこで、左下奥歯を温存するため過去の古い薬剤を取り除き、根の内部を清掃する再根管治療が必要であることをお伝えしました。 また、今回はより精密な処置が求められたため、以下の方法で進めることを提案しています。 ・歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の使用 ・MTAセメントによる根管充填 ・ジルコニアクラウンによる修復 それぞれのメリット・デメリット、根の形状によっては再治療が難航する可能性があることなどについても十分に説明し、治療に同意いただきました。 まず、左下奥歯の根に詰められていた古い薬剤を慎重に除去します。 |
| 治療期間 | 約4週間 |
| 費用 | 約255,000円 (根管治療+補綴治療) |
治療のリスク | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります ・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります ・装着に際し、天然歯を削る場合があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |
治療前

治療中

MTAセメントで根の内部を緊密に封鎖しました。

治療後



みなさんこんにちは。海谷歯科医院海谷です。今日はオールオン4と入れ歯についてお話しします。
オールオン4(All-on-4)は、歯をほとんど、またはすべて失った方に対して、片あごにつき、通常4本のインプラントで固定式の人工歯を支える治療法です。入れ歯と比べると、見た目や噛み心地に大きな違いがありますが、費用や手術の負担などのデメリットもあります。
固定式なので、天然歯に近い感覚で噛めます。
硬いもの(肉、せんべい、リンゴなど)も比較的食べやすくなります。
入れ歯のように食事中や会話中にズレたり外れたりする心配がほとんどありません。
歯ぐきや歯並びまで考慮して作製されるため、自然な笑顔になりやすいです。
インプラントが顎の骨に力を伝えるため、入れ歯だけの場合より骨の吸収を抑える効果が期待できます。
すべての歯を失っていても通常4本のインプラントで支えるため、従来のフルインプラント(8~10程度)より手術の負担や費用を抑えられることがあります。
日本では片あごで約200~400万円程度が目安です。
多くの場合、自由診療となります。
インプラント埋入手術が必要です。
全身状態(糖尿病、重度の骨粗しょう症、喫煙など)によっては適応できない場合があります。
固定式には毎日の清掃は必要です。
数か月ごとの定期検診・専門的クリーニングが推奨されます。
人工歯の破損やインプラント周囲炎が起きると、修理や再治療に時間・費用がかかることがあります。
症例によっては骨造成などが必要になることがあります。
| オールオン4 | 総入れ歯 | |
|---|---|---|
| 噛む力 | 天然歯の60~80%程度が期待できる | 天然歯の20~30%程度が目安 |
| 装着感 | 固定式で違和感が少ない | 動きやすく違和感が出ることがある |
| 見た目 | 非常に自然 | 良好だが人工的に見えることもある |
| 発音 | 慣れやすい | 慣れるまで話しにくいことがある |
| 食事 | 硬いものも比較的食べやすい | 食べにくい食品が多い |
| 手術 | 必要 | 不要 |
| 治療費 | 高額(自由診療) | 比較的安価(保険適用あり) |
| メンテナンス | 定期管理が重要 | 清掃・調整が必要 |
| 寿命 | 適切な管理で10~20年以上使用できる例もあることが多い | 作り替えや調整が数年ごとに必要になる |
次のようなケースでは慎重な検討が必要です。
快適性・見た目・噛む力を重視するなら、オールオン4は非常に優れた選択肢です。ただし、高額な費用と手術、継続的なメンテナンスが必要になります。
費用や手術への負担を重視するなら、総入れ歯は有力な選択肢です。保険診療で作製できる場合もあり、身体への負担は少ない一方で、噛む力や装着感には限界があります。
治療法を選ぶ際は、口腔内だけでなく全身の健康状態や生活習慣、予算、期待する生活の質(QOL)を踏まえて、歯科医師と十分に相談することが大切です。また、年齢も関係してきます。
メイテナンスに通うのが難しい場合は入れ歯の方が数段手入れは楽になります。
今の状態を複数の歯科医院でセカンドオピニオンを受けることも有益です。
お気軽にご相談ください。