患者 | 60代女性 |
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主訴 | 「抜歯した部分にインプラントを入れて欲しい」とご相談いただきました。 |
診断 | 患者様は右下の奥歯(第2小臼歯/5番)がもともと欠損しており、両隣の歯を削って橋渡しのように歯を補う「ブリッジ」で治療していました。 しかし、ブリッジを支えている奥歯(第1大臼歯/6番)の状態が悪くなり、ブリッジを除去して抜歯を行ったため、2本分の歯を補う治療が必要でした。 患者様は、人工の土台をあごの骨に埋め、その上に歯を装着する「インプラント治療」をご希望でした。 |
行ったご提案・治療内容 | 抜歯後の骨の治癒を待って再度検査を行い、あごの骨の量が足りない場合は骨を増やす処置「GBR」を行ってからインプラントを埋入することをご提案しました。 インプラントを支えるためには十分な量の骨が必要であること、骨がしっかり再生したタイミングで治療方針を決める必要があることをご説明し、同意いただきました。 まず、抜歯後8ヶ月間待機してからあごの骨の状態を確認したところ、唇側の骨の厚みが足りない状態でした。 手術から4ヶ月後、あごの骨が再生してインプラントがしっかり定着したことを確認してから、インプラントの頭を歯ぐきの上に出す「2次手術」を行いました。 2次手術の傷が治るのを待ってから最終的な被せ物を作製し、インプラントの上に装着しました。 |
治療期間 | 約1年 |
費用 | 約850,000円 |
術後の経過・現在の様子 | 適切な位置にインプラントが入り、歯の形や噛み合わせも回復しました。 治療終了から6ヶ月が経過し、痛みなども無く良好です。 患者様にも「自分の歯のように違和感なくしっかり噛める。見た目も自然で嬉しい」と大変お喜びいただきました。 インプラントを長くお使いいただけるよう、現在も定期的なメンテナンスでご通院いただいています。 |
治療のリスク | ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります ・高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります ・自費診療(保険適用外治療)です ・あまりに強い力がかかると、被せ物が欠けることがあります |
治療前
術前のCT画像では、唇側の骨の不足が認められます。
治療中
抜歯後8ヶ月でインプラントを埋める手術を行いました。
インプラントの手術と同時に、自家骨とサイトランスによるGBRを行いました。
手術から1週間後の様子です。
型取り前のレントゲン写真です。
治療後
歯の形も回復しています。
手術後のレントゲン写真です。
インプラントが適切な位置に配置されています。
患者 | 70代男性 |
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主訴 | 「右で噛みづらい」とご相談いただきました。 |
診断 | 拝見すると、右下の奥歯(第1大臼歯/6番)は、強い噛み合わせの影響で歯が欠ける「チッピング」が起き、形が大きく変わっていました。
このままの状態を放置すると、奥歯でしっかり噛めないことにより胃腸に負担がかかるおそれがありました。 |
行ったご提案・治療内容 | しっかり噛めるようにするためには、大きな力がかかる奥歯にも適した、強度があり欠けづらい「ジルコニア」での修復治療をご提案し、ご選択いただきました。 まず、右下の奥歯(第1大臼歯)は欠けている範囲が大きいので、歯全体を覆う被せ物を作製するための土台の形を整えました。 その後、丁寧に型取りを行い、ジルコニアの被せ物を装着しました。 |
治療期間 | 約2週間 |
費用 | 132,000円 |
術後の経過・現在の様子 | ぴったりフィットした被せ物が入り、しっかり噛めるようになりました。 また、冷たいものでしみたり痛みを感じることもありません。 患者様にも「左右バランスよく噛めるようになって嬉しい」と大変喜んでいただきました。 3ヶ月が経過した現在も、割れたり欠けたりすることなくご使用いただいており、定期検診で経過を観察しています。 |
治療のリスク | ・装着に際し、天然歯を削る必要があります ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、被せ物が割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |
治療前
歯が欠けています。
歯が欠けています。
歯の神経に炎症は見られませんでした。
治療中
歯全体を覆う被せ物を作るため、土台の形を整えました。
治療後
ぴったりフィットしたジルコニアの被せ物が装着されています。
治療後は歯の形も周りになじんでいます。
ぴったりフィットしたジルコニアの被せ物が装着されています。
患者 | 50代女性 |
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主訴 | 「抜歯と言われた歯を治したい」とご相談いただきました。 |
診断 | 拝見したところ、右下の奥歯(第1大臼歯/6番)の歯茎は、膿が溜まって腫れる「フィステル」が見られました。 レントゲン写真を確認すると、右下奥歯の根の周りに黒く透けている「透過像」があり、炎症を起こしている状態が確認されました。 またフィステルがある歯の根っこの分かれ目「分岐部」付近には違和感もあったため、根が折れている「歯根破折」の可能性がありました。 破折の確認をするために、被せ物を外し精査したところ、神経の部屋の床の部分「髄床底」付近に穴が開いている「パーフォレーション(穿孔)」が見られました。 患者様は「長年歯茎が腫れていて、何件か診察に行ったが抜歯と診断された」とおっしゃっていました。 |
行ったご提案・治療内容 | パーフォレーション部分を、歯に含まれるカルシウム系の成分と同じものでできている歯科用セメント「MTAセメント」で閉鎖することで、フィステルが消失する可能性があることをご説明し、治療への同意をいただきました。
細菌の発生や繁殖が起こらないよう、細心の注意を払いパーフォレーション部分をMTAセメントで緊密に封鎖しました。 封鎖後2週間でフィステルが出現したため、分岐部に溜まった膿を掻き出す「分岐部掻爬(ぶんきぶそうは)」を行いました。 1ヶ月後、歯茎の回復が確認できたため、白くて自然な見た目の被せ物「ジルコニアクラウン」を装着しました。 |
治療期間 | 約3ヶ月 |
費用 | 根管治療 50,000円 ジルコニアクラウン 120,000円 |
術後の経過・現在の様子 | 術後6ヶ月が経ちましたが、痛みや腫れはなく経過は順調です。 患者様には「長年の腫れがなくなり、今は問題なく過ごせている。歯を残すことができて良かった」と大変喜んでいただけました。 現在は、定期的にメンテナンスにてご来院されています。 |
治療のリスク | 被せ物が割れることがあります。 |
治療前
根の先「根尖部」には、透過像はないように思われました。
治療中
炎症像が見られました。
被せ物除去後、出血を認めました。
止血後に消毒を行い、MTAによる封鎖を行いました。
被せ物除去後、出血を認めました。
止血後に消毒を行い、MTAによる封鎖を行いました。
被せ物除去後、出血を認めました。
止血後に消毒を行い、MTAによる封鎖を行いました。
封鎖後2週間でフィステルが出現したため分岐部掻爬を行いました。
術後フィステルは消失しましたが、歯茎の退縮が起こりました。
封鎖後2週間でフィステルが出現したため分岐部掻爬を行いました。
術後フィステルは消失しましたが、歯茎の退縮が起こりました。
歯肉を回復させるため、分岐部にサイトランストとフィブロガイドを使用し、歯肉の縫合を行いました。
歯肉を回復させるため、分岐部にサイトランストとフィブロガイドを使用し、歯肉の縫合を行いました。
術後1ヶ月、歯茎が回復しているのが確認できました。
術後1ヶ月、歯茎が回復しているのが確認できました。
治療後
適合の良いジルコニアクラウンを装着しました。
患者 | 40代男性 |
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主訴 | 「長年歯茎が腫れていて、何件かの歯科医院で診察してもらい抜歯と言われたが、治したい」とご来院いただきました。 |
診断 | 拝見したところ、左下の奥歯(第2大臼歯/7番)の歯茎に、膿の袋である「フィステル」ができていました。 レントゲン写真で確認すると、左下の2本(第2大臼歯、第3大臼歯/8番)の根の先が黒く写っており、根の周囲に炎症が起きる「歯根膜炎(しこんまくえん)」であることがわかりました。 診査により、1番奥の歯(第3大臼歯)には、神経が生きている反応が見られました。 |
行ったご提案・治療内容 | 奥歯を抜かずに保存するためには、もう1度根の中の治療である「根管治療」を行う必要があることをご説明しました。 また、根管治療後に詰める材料は、殺菌効果が非常に高い「MTAセメント」を使用することで、再発リスクが下げられることをお伝えし、ご了承いただきました。 根管治療終了後は、土台の形を整えて型取りをし、患者様のご希望通り、白くて強度がある素材「ジルコニア」の被せ物を作製し装着しました。 |
治療期間 | 約1ヶ月 |
費用 | 根管治療費132,000円 ジルコニアの被せ物132,000円 |
術後の経過・現在の様子 | 溜まっていた膿がなくなり、歯を抜かずに保存することが出来ました。
患者様にも「自分の歯が残せて嬉しい。新しい被せ物もぴったりフィットしている」と大変ご満足いただきました。 治療から6ヶ月経った現在も、再発することなく、良好な状態を維持しています。 |
治療のリスク | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります ・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、被せ物が割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外)です |
治療前
治療中
黒い影があり、炎症がみられました。
被せ物を装着するための歯の高さが足りなかったため、歯茎と歯を支えている骨を削る「クラウンレングスニング」を行い、土台の形を整えました。
治療後
根管と根管がくっつきC型にカーブしている「樋状根(といじょうこん)」のため難しい症例でしたが、治療を終え3ヶ月経過後も良好な状態です。
みなさんこんにちは。海谷歯科医院の海谷です。
今回はインプラントの寿命についてお話ししたいと思います。
この質問はよく患者さんから受けます。まず答えから言いますと長い場合もあるし短い場合もあるというところでしょうか。インプラント自体は純チタンで作成されているものなのできちんとした外科処置を医師が行えば長期間使用はできるものであるということを頭に入れておいてください。まずここが持たせるための最低限のルールだと言えます。
上物 (白い歯) などは不用意に硬いものを噛んだ時などチッピング、破折が起きたりはしてしまうというのが現状です。ただこれが起きたとしても上物を変えるだけですみますので費用的にも抑えることができます。大事なのは骨の中に入っているインプラントそのものなのです。
このインプラントがだめになるとやりかえなければならなかったりコツ吸収がひどい場合は再埋入が不可能になる場合もあります。
インプラントがダメになる大きな理由を挙げていきます。
1、インプラントが歯周病に罹患した。
2、噛み合わせの力が強くインプラント自体が破折した。
この2つが大きな理由だと考えます。
1に関しては、状態にもよりますがクリーニングを行いながら経過観察をして持たせることもできます。重篤な状態は撤去になります。
なのでこれを防ぐためにはきちんと定期検診に通っていただかないとということになります。通っている方といない方の罹患率はかなりの開きがあります。
2についてはマウスピースを必ず使用することです。
これは絶対です。患者さんは最初は使用しているが最近は。。。という方が少なくありません。使用しないことによって過大な力がかかり骨吸収を引き起こしインプラント周囲炎に罹患することもありますしインプラント自体が折れてしまうこともあります。
折れてしまったら撤去以外ノーチョイスです。
とこのようにさまざまなことが起きる可能性があるので最初の答えになるわけです。
患者さん自身が自分の状況をきちんと踏まえて定期検診をきちんと受けて、マウスピースの使用をしていれば長く使用できると考えてください。
自分のインプラントの寿命を伸ばすのは患者さん自身なのです。