患者 | 40代女性 |
---|---|
主訴 | 「他院にて治療を終了したが、長い間歯茎の腫れが引かない。噛むと痛い」とご相談いただきました。
ご紹介により来院された患者様です。 |
診断 | 拝見したところ、左下の奥歯(第1大臼歯/6番)は歯茎が赤く腫れていました。 レントゲン写真で確認すると、根の周囲に黒い影「透過像(とうかぞう)」があり、細菌感染を起こし膿がたまる「歯根膜炎(しこんまくえん)」になっていることがわかりました。 この状態を放置していると、根の周りの組織にも感染が広がり、根の中の治療「根管治療」だけでは治らない恐れがありました。 |
行ったご提案・治療内容 | たまった膿を除去するために、古い被せ物を外してから根管治療を行い、殺菌作用が高い「MTAセメント」 を詰める治療をご提案しました。 MTAセメントを用いた治療は自費になりますが、封鎖性が高いので再び感染するリスクが下げられることをご説明し、ご了承いただきました。 根管治療が終了した後は、土台の形を整え被せ物の型取りを行い、周りの歯との色合いを何度か調整し自然な見た目の被せ物を装着しました。 |
治療期間 | 約2ヶ月 |
費用 | 根管治療 132,000円 被せ物 132,000円 |
術後の経過・現在の様子 | 歯茎の腫れは完全に引き、痛みもなくなりました。 患者様にも「腫れや痛みがなくなり、見た目も自然になって嬉しい」と大変喜んでいただきました。 術後6ヶ月経った現在も、再発することなく良好な状態を維持しています。 |
治療のリスク | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります ・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外)です |
治療前
治療中
他院での根管治療後に、再び細菌感染し膿がたまっており、歯を支えている顎の骨「歯槽骨」が溶け、透過像が認められました
根管内にMTAセメントを詰めました
治療後
自然な見た目に改善されました
患者 | 50代男性 |
---|---|
主訴 | 「差し歯が取れた」とご来院されました。 患者様は「この差し歯は、繰り返し外れてはつけ直してもらっていた」とおっしゃっていました。 |
診断 | 拝見したところ、右上前歯(側切歯/2番)の差し歯が外れて、歯根が見えていました。 被せ物は、歯茎の上「歯肉縁上」に出ている歯質「フェルール」を抱え込むことで、差し歯が外れたり歯根が折れたりする力に抵抗することができます。 右上前歯はフェルールが足りない状態であり、差し歯の維持が困難で、脱離を繰り返していると診断しました。 |
行ったご提案・治療内容 | このまま外れた差し歯を付けなおしても、再度外れてしまう可能性が高いため、フェルールをしっかり確保する必要がありました。 フェルールを確保するために、歯根を矯正的に引っ張りだす「エクストルージョン(歯根挺出術)」をご提案しました。 まず、右上前歯にフックを装着し、両隣の歯の裏側にワイヤーを固定し、矯正用のゴムをかけ引っ張り上げる力を加えました。 |
治療期間 | 約4ヶ月 |
費用 | 約182,000円 |
術後の経過・現在の様子 | 治療後6ヶ月が経ちましたが、脱離はありません。 噛み合わせの違和感や痛みもなく、順調に経過しています。 患者様には「差し歯が取れないようにしっかり考えて治療してくれて、感謝している」と大変満足いただけました。 現在は、定期検診にて経過の確認をしています。 |
治療のリスク | ・被せ物が割れる可能性があります。 ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります。 ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、被せ物が割れる可能性があります。 ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です。 |
治療前
治療中
エクストルージョン(歯根挺出術)で約3mmほどフェルールが確認できました。
適切なフェルールが確保されました。
治療後
歯の形態も回復しました。
原状回復されました。
よく患者さんからインプラントは体に悪いのではないか? 何かしらの影響があるのでは?
という質問をいただきます。結論から言いますとほとんどの患者さんには適応できると思っています。
ほとんどですから全ての患者さんではありません。後ほど不適応の患者さんについてはご説明します。
まずインプラントは数十年前にはチタン以外のもの(今でもジルコニアインプラントはあります)がありましたが、最近は純チタンかチタン合金のものになります。
チタンは整形外科で骨折の固定にも使用されるものなので、身体に対しては安全なもの (生体親和性が良い)とされています。 当院においても何か為害(いがい)作用が出たことはありません。
ただ金属アレルギーの患者さんには使用できません。
金属にもいろいろなものがありますので一概に禁忌とは言えませんが、チタンにアレルギーがある患者さんにはもちろん禁忌となります。
ですからまず金属アレルギーをお持ちの患者さんは、何に対してアレルギーがあるのかということをきちんと調べてみてください。
それによって対処方法が変わってきますので。
最後にインプラントを入れたらMRIが取れないのではないか?
と良く聞かれますが全く心配いりませんのでご安心下さい。